多肉植物の育て方 入門    関東以南太平洋側

多肉植物とは、植物の(根・茎・葉)が多肉質になった植物のことです。自生地は、乾燥した地域や水分を得にくい環境のものが多く、多肉化した部分に水分を溜め耐乾燥性を持っています。多くの場合、乾燥に特化した特殊な容姿が可愛く、奇妙、美しく、園芸価値の高いものとなっています。

栽培方法は、環境の少しの違いで大きく変わりますので全ての環境で同じ管理は、困難です。 リンク及び此処で記述している内容は、一つの目安としてご利用いただけると幸いです。また、メセンだけではなく一般的な話になっています。

 

多肉植物の産地
乾燥地帯に生育する種が多く南アフリカ共和国周辺とメキシコ合衆国周辺が二大中心地となっています。南アフリカ周辺には、アロエ、ハオルチア、コチレドン、クラッスラ、ユーホルビア、ガガイモ、メセン等の高度に多肉化したものが多く自生しています。メキシコ周辺には、アガベ、エケベリア、ダドレア、サボテン等が自生しています。また、他の地域としてマダガスカルにパキポデューム、ユーホルビア等・・・ヨーロッパ アルプス原産のセンペルビュームなどがあります。
成長サイクルの把握
世界各地に自生している植物を日本の気候に合わせ栽培する為、夏型・冬型・春秋型などに便宜的に分けて栽培している事が多いようです。夏型は、気温が高い時期に生育するもので冬型は、冬に生育するタイプです。もちろん、夏型・冬型の中に強健な種、難物も含まれ、夏型でも高温に弱いもの、冬型でも低温によわいものがあり、生育期と休眠期の管理は、一様では、ありません。 なかには、夏の高温、冬の低温に弱く春秋に生育する春秋型もあります。また、日本では、自生地での成長サイクルと日本の栽培都合で栽培型が変形させている物も多くあり見極めがとても厄介です。
栽培地域が違えば必ずしも、日本で言われている栽培が苗に最適であるとは限りませんので自生地環境を把握し、苗にとって何が最適なのかを栽培者が考えないと上手く栽培できません。国内の季節型栽培法は、大まかな目安でしかなく、中には本来、夏型なのに冬型とされ、栽培が困難になる物、夏に雨が最大なのに春秋型とされる物も見かけます。安易な区分は、自生地環境を把握してから、信用した方がよさそうです。
栽培場所
多肉植物の栽培で重要なのが置き場所です。自生地で岩陰やブッシュの中で生育するものと終日、直射光の下で生育しているものを同一の場所で通年栽培する事は、困難な事です。どの様な環境で生育しているか凡その事を掴んで工夫すれば雨のかからない軒下等で(低温に弱い種→屋内取り込み)多くの種類を立派に栽培することが出来ます。ビニール・ハウスが困難な場所でも小型フレームを利用することで栽培可能な種類も更に増やすことができます。いずれの場合も、春〜秋に最大の風通しの良さが栽培に求められます。

 

夏型栽培
大雑把に4月〜11月上旬頃までが生育期になるそうです( 正しいかは別として)。生育期間中は、気温も高く、風通し最大の環境で雨のかからない風通しの良い屋外で管理できます。しかし、猛暑期(梅雨明け〜お盆過ぎ)の直射日光で普通の観葉植物が葉焼けするように夏に強い夏型もダメージを受ける場合があります。少し乾燥気味にし(断水はダメです)、風通しと網戸のネット〜寒冷紗等を組み合わせ25%-50%程直射光を弱めると効果的です。多肉栽培は寒冷紗を有効に使用しましょう。
自生地で夏成長型の多肉が日本の暑さに強いわけでもなく、冷涼な夏に生育する種類も多く存在します。日本で便宜上冬型と言われているリトープスの殆どが冷涼な標高の高い地域で夏に雨が降り夏に成長します。リトープスの栽培が困難と言われるのは、日陰管理や過度な減光を成長期にあたる夏に行い命の維持に必要なだけの光合成を行うケースが多いです。高温対策には、最小限度の減光率で風通し最大が成功する要であると考えています。夏に冷涼な地域に生えている苗は、冬の耐寒性は強いのは当然の結果になります。
冬型栽培
大雑把に9月〜6月上旬頃までが生育期になるような区分がされているようです(正しいか別として)。生育期間中は、冬型が好む程度に冷涼で雨のかからない風通しの良い屋外で管理できます。しかし、冬成長型に強い耐寒性はなく、冬に雨が降る暖かな地域に生育しているので冬に成長するのだと考えるのが正しいと思われます。寒気が予想されたら、、霜や凍結が起きないように加温管理します。氷点下が予想されるなら、一時的に玄関などに避難させると安心です。場所が許すなら、厳寒期は、日の当る屋内窓際で管理する事も出来ます。 初春からは、日射が強いので風通しを一番に考え涼しい環境を与えます。5月頃は、休眠へ移行中で蒸発も早いので水の管理を変える必要はないと考えています。夏は、風通し最大にして減光率の出来るだけ少ない寒冷紗で涼しく管理します。夏の間、完全な日陰での管理は、良くありません。水は、気温が高いので早く乾きますので培養土次第ですが間隔的に変える事はほとんどありません。鉢の乾燥速度が4-5倍速いので周年変える必要は無いように思われます。
春秋型栽培
この成長型分類は私には謎で 、確かに春秋に成長する訳ですが夏の猛暑を避ける環境に置けば夏にも成長する苗が多いようです。冬は寒くて活性が悪く成長は殆どしませんから、暑さに弱い夏生育型の変形栽培なのかとも解釈できそうです。ハオルチア等は7月8月に降雨最大でも夏半休眠とされていることが有るのは、日本の栽培都合ではないかと考えています。アエオニウムは夏の期間に乾燥しますので理解できます。

 

植え替え
一般的に秋か春の生育期に入った時期が良いとされています。冬型は、9月〜10月、夏型は、3月頃が良いと言われているようです。 猛暑期や厳寒期は、苗・根への負担が大きく避けましょう。 培養土は、市販の粒構成の多肉・サボテン培養土に3割〜5割程の小粒赤玉土を混ぜたものが使いやすいようです。 土配合は、砂主体が早く乾き、赤玉土主体が乾きにくいと思われがちですが・・・赤玉土主体で乾きすぎるなら、砂を混ぜ乾きを遅くします。(通気が悪くなり乾きが遅くなります。)これだけでは、培養土が硬く締まりますから、腐葉土やバーライト、細粒軽石等を混入して硬くならないように調節します。 生育が目的なら、多肉植物も大きな鉢で湿度を保つ培養土が好きなようです。
安定した栽培に寒冷紗

ここでは、生育期による栽培方法について書きましたが、自生地環境をしらないと自生地の生育パターンと日本での生育パターンにずれがうまれ、その差分を認識しないで栽培する事になります。メセンの場合、日本で「冬型メセン」とされていますが、これは日本の夏が暑いことや栽培設備で熱が籠るので生命の維持が困難だから安直に考え出された事と思われます。腐敗の率を下げるには、夏の日陰管理など行わないで、風通しを最大にして、適切な減光率の寒冷紗を積極的に使用し光合成をさせながら夏を乗り越えるしか有効な方法がありません。減光率の違いで生きるか腐るかの分かれ目になりますので良く観察され、可能な限り少ない減光率で夏を越させます。35%程度から様子を見ると良いしか書けません。しかし、寒冷紗を使用する方は今でも少なく、存在や使用目的も分らない方も多いようです。寒冷紗を使うのが手間と考えるのなら、黒網戸ネットとグレー網戸ネットを購入して寒冷紗代わりに使う事からでも始めて頂ければ手放せない物になると思います。

 

 

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